受託者が、信託財産を、受託者自身の固有財産により購入することは、信託法上許されるでしょうか?
2021.05.13更新
信託財産を受託者の固有財産に帰属させることは利益相反行為にあたるため、原則として禁止されています(法31条1項)。
しかし、信託行為に当該行為をすることを許容する旨の定めがあるとき等、同条2項各号のいずれかに該当するときは、例外的に利益相反行為をすることができます。
ただし、同項2号に該当する場合(受託者が当該行為について重要な事実を開示して受益者の承認を得たとき)であっても、当該行為をすることができない旨の信託行為の定めがあるときは、信託行為の定めが優先し、利益相反行為をすることはできません(同項ただし書)。
本件において、受託者の購入行為が例外事由にあたらない場合は、その行為は無効となります(法31条4項)。ただし、受益者の追認があったときは、その行為の時にさかのぼって有効となります(同条5項)。