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相続の基礎知識

遺産分割の注意点

遺産分割協議の途中で、財産の価値に変動があった場合

遺産分割協議が長引くと、不動産や株式などの価格が変わってしまうことがあります。このような場合には、遺産の価値はどう評価するのでしょうか。

遺産の価値は、時価で評価します。では、いつの時価で判断するのでしょうか。実務では、相続人間の公平を図るため、遺産分割協議のときの時価を用いています。

一部の相続人が遺産を隠したり、勝手に使ってしまう危険を予防

遺産分割協議が長引いている間に、一部の相続人が遺産を隠したり、勝手に使ってしまうおそれがあります。それを防止するために、家事審判法による調停前の仮の措置と、審判前の保全処分を利用することができます。

家事審判法による調停前の仮の措置とは、遺産分割の調停がされている間に、調停委員または家事審判官が、職権で調停のために必要と認める処分を命じることです(家事審判規則133条1項)。当事者から申し立てをして、この措置を促します。そうすれば、不動産や株券の処分の禁止等を命じてもらうことができます。

審判前の保全処分は、遺産分割の審判の申し立てがあったときや、調停が不調に終わり審判に移行した場合に、家庭裁判所が遺産の保全に必要な処分を命ずることです。

遺産分割協議後、遺産に問題があった場合

遺産分割をして取得した遺産に、遺産分割協議のときには分からなかった問題がある場合には、どうなるのでしょうか。

例えば、取得した財産が他人の物だったり、数が足りなかったり、担保がついていない土地だと思っていたのに実際には担保がついていたりした場合です。

このような場合に備えて、民法は担保責任の規定をおいています。民法第911条で、「各共同相続人は、他の共同相続人に対して、売主と同じく、その相続分に応じて担保責任を負う」とあります。つまり、問題のある遺産を取得してしまった相続人は、他の相続人に対して、損害賠償請求ができる場合があります。

しかし、遺産に問題があったことを理由に、遺産分割協議自体を解除することはできません。もっとも、相続人全員が合意した場合には、遺産分割協議を合意解除することはできます。